<宇宙訳日月神示より>

 

■  入社2年で転職

 忙しかった大学生活も終盤になり、就職の時期が近づいてきました。就職先を検討していたところ、知り合いの紹介で広告代理店へ入社することになりました。

 本社は東京の神田でしたが、新宿営業所へ配属となりました。上司は配慮のある方だったので、働きやすい職場でした。先輩もよい人ばかりで、社会人も悪くないなと思いました。ただ、残業が多くて、帰りはいつも午後8時くらいでした。

 4月に入社し、仕事も慣れてきて、すこし余裕が出てきたので、5月から知り合いから紹介された「経済学講座」に参加することにしました。週に一度、飯田橋で開催される勉強会で、月謝も5千円でした。そこで家内と知り合いました。初めて会ってから、3ヶ月後に入籍しました。ご縁があったのでしょうね。

広告代理店の仕事に就いて2年が経ったころ、息子が生まれたので、家内は仕事を辞めました。今までは家内も稼いでくれていたので、生活は問題なかったのですが、入社2年の私の給料ではきつくなってしまいました。

居酒屋再生計画】かつての業界の雄「天狗」。おいしいし、接客も ...

 そこで家内と相談して転職することにしました。とりあえず広告代理店を退職しました。あてもないのに辞めたので、取り急ぎアルバイトをすることにしました。アルバイト情報誌を見ていると、新宿南口のルミネの前にある天狗という居酒屋が目に止まりました。早速応募すると、すぐに採用になりました。

 天狗には午後2時に出社し、仕込みをします。ほとんど料理はやったこともありませんでしたが、玉ねぎをスライスしたり、大根をおろしたり、ジャガイモの皮をむいたりといろいろやりました。包丁を使ったこともあまりなかったですが、だんだんと慣れてきました。

 3ヶ月ほどしたとき、店長から社員にならないかとのお誘いをいただきました。年収400万円をいただけるとのことだったので、すぐに決めました。しかも住宅費の半分を会社が支給してくれるという好待遇でした。

 焼き物や煮物、刺身などの料理方法も教えていただきました。半年ほど経つと、嬉しいことにチーフに昇進し、飯田橋店へ転勤になりました。

 そして社員になって1年経ったころ、赤坂店の店長に昇進しました。あっという間に店長にさせていただけたので、一気に家計は潤いました。

テンアライド株式会社

 

旅Karatsu 唐津観光協会|居酒屋 天狗茶屋

■  名古屋へ単身赴任

 店長として赴任した赤坂店の売上は、順調に伸び、毎月の売上伸び率ベスト3に入るほどになりました。給料も順調に伸びていきました。

 その成果が評価されたのか、名古屋地区への新規オープンのメンバーに選ばれました。天狗チェーン(テンアライド株式会社)はそれまで東京と大阪に店舗を展開していましたが、名古屋にも新規に出店することになったのです。オープンスタッフは、私を社員にしてくれた新宿南口店の店長のHさん、その右腕のAさんと私の3人でした。

 名古屋には天狗チェーンの拠点がなかったので、3人とも中心街の栄さかえにあるビジネスホテルに宿泊することになりました。オープンスタッフの仕事は、競合他店の料理や接客、客数などを調査することでした。仕事は午後1時から、新規にオープンするための店舗を探しました。夕方からは競合他店へ行き、いろいろなメニューを注文し、3人で味見をしながら評価をまとめていきました。アルコールも調査の対象ですので、ビールやサワー類、ワイン、ウィスキー、日本酒、焼酎などを味見しました。

 この調査は2週間ほど続きました。居酒屋で飲んで食べることが仕事なのですから、なんていい仕事だろうと思いました。しかも経費は会社持ちですから、言うことなしです。

 しばらくすると、名古屋市の中心街の栄に、良い店舗が見つかりました。そしてオープンは、1ヶ月後に決まりました。これまでの2週間は、毎日居酒屋で飲んで食べるのが仕事でしたが、これからは社員やアルバイトの募集、面接、教育をやっていかなければなりません。私はアルバイトの面接を任されました。当時はインターネットがなかったので、アルバイト情報誌に募集広告を載せました。新規オープンということで、たくさんの応募がありました。

 毎日10名ほどの方の面接を行いました。大学生や高校生、フリーターなど、いろいろな方が面接にきました。接客が好きな方はホール作業、料理がやりたい人は調理作業をお願いしました。中には裏方がいいという方もいたので、洗い場をお願いしました。その中で、何でもこなす器用な方は、その日のシフトに合わせて、ホール作業、調理作業、洗い場などを任せることにしました。

 面接と並行して、ホール作業の教育も始めました。「いらっしゃいませ」「お待たせいたしました」「ありがとうございました」など基本用語を習得してもらいました。大きな声を出す練習もやりました。大学時代、合気道部の稽古で大きな声を出していたことが、役に立ちました。

 当時は注文を受けるハンディターミナルがなかったので、手書きでオーダーを受ける練習を何度も行いました。

 結果的に120名の方を面接し、その内60名を採用しました。その後の導入教育の過程で、合わないといって辞める人もいたので、40名のメンバーでスタートすることになりました。

 そして教育期間の1ヶ月が過ぎ、オープン当日を迎えました。緊張と期待が交錯する中、営業が始まりました。午後5時を少し回ったところで、最初のお客さんが来てくれました。アルバイトのスタッフたちはかなり緊張していて、声も小さくなってしまいます。最初は誰でもそういうものです。その内に続々とお客さんが入店してくれ、忙しくなってくると、緊張どころではなくなります。誰もが忙しくしていました。何度も接客のロールプレイングをしたことが本番で役に立ちました。

大きなトラブルもなく、あっという間に閉店時間となりました。当日は150席の店に、160人ほどのお客さんが来てくれたので、約1回転したことになります。目標の2回転までは程遠いですが、一丸となって達成しようと思いました。初めての地で、自分たちで店を作り上げていくことは、とても面白いことが分かりました。